先日、京都駅近くの「キャンパスプラザ京都」にて13時から17時まで有機農業シンポジウム・第6回農こそシリーズ「農こそエナジー in 京都」が開催されました。これは農水省の事業の一環として、全国で有機農業をひろめるために行われたものです。同シンポジウムでは大阪愛農食品センターをふくめ18団体が主催団体となり、またセンターからは杉本が企画運営の事務局と、パネルディスカッションのパネリストとして関わりました。
当日はスタッフ・関係者ふくめて198名の参加がありました。立ち見が出る300名以上を目標としていたので私としては悔しいのですが、遠くは福島や東京、高知から来てくださった方もいて新しいつながりができるきっかけとなりました。全体的な感想としては、とても深く濃い内容のシンポジウムになったと思いますし、参加者の皆さまからの意見もいただきながら今後の展望も見いだせたことは良かったと思います。
今回のシンポジウムは二部構成で行いました。第一部は、これまでの有機農業運動の中でエネルギー問題ひいては原発問題をどのようにとらえてきたかを3人の方から報告していただきました。第二部ではそれらの報告を受け、これからの担い手である20代?50代の私たちが今後の有機農業運動の中でエネルギー問題をどうとらえ、今後の社会や暮らし方はどうあるべきなのか、今回の原発事故をうけて福島の有機生産者や消費者、ひいては福島の農業を関西の私たちはどう考えどうつきあっていくのかについて語り合いました。
【報告:センター杉本】
福島原発から50kmにある二本松市旧東和町で有機農業を営んでいます。地域おこしのために仲間と桑の実を主力商品とした加工品開発や道の駅運営、学校給食への食材納品などを進めてきた紹介の後、原発事故により学校給食への納品自粛や消費者離れがあること、高齢の農業者がこれを機に農業をやめる動きが半数以上あることなどの報告がありました。耕作放棄地が全国では40万ha(埼玉県くらい)、そのうち福島県では2万haもあるとのことです。
菅野さんとしてはどうにかして今の地で農業を続けると同時に復興させたいという思いがあり、そのためには?放射能に汚染された農地にひまわりや菜種を栽培して除染をすすめると同時に、その種を搾油し農機具や家庭のエネルギー源として使用する取り組みをすすめる、?福島の農産物を食べていただけるように農産物ごとに検査をしデータをつけて販売する、?データを細かくとって見ていくと有機的土作りではセシウムが農産物に移行しないことがわかってきた。土作りをどのようにしていくかということを私たち農民的視点で進めていかなければならない、と静かではありますが強い信念や熱い思いを語られました。

いのちの源である農業、とりわけ有機農産物の“提携”をキーワードとした流通にも関わってこられた槌田さんからは、その取り組みを通し有機農業運動の考え方とは何かを報告していただきました。
1971年に設立された日本有機農業研究会の結成趣意書の6つの視点をもとに話をされました。なかでも1つ目の「経済合理主義ですすめられてきた近代化農業は明るい希望や期待が持てない」ことと、6つ目の「消費者の食と健康への理解と食生活の健全化」について触れられ、有機農業運動は生産者と消費者の協力互助による共生関係が基本だということが述べられました。
それをうけて、原発事故後の福島の農産物に対して「放射能だけ」「子どもの幸せだけ」を考えて買わない、という社会や人とのつながり方は本当に幸せなことなのかと問いかけられました。一方、もともと科学者である槌田さんは放射能の恐ろしさも理解していますので、細胞分裂が盛んな子どもや妊婦は、放射能に汚染された農産物を食べるべきではないとも述べられました。しかし原発を許してきた年配者は、福島の農民に心を寄せて福島の農産物を食べて、未来の子や孫そして福島の農業と生産者を守っていきませんかと呼びかけられました。

被爆2世という立場と、有機農業者という立場から発言をしていただきました。お父様やお祖父さまの内部被曝の経験が、現在の生き方に大きな影響を与えてきたとのことです。今回の原発事故への福島の生産者や農業に対してはそれらを受けて、先の二人の報告者とは違う考え方を述べられました。それは、健康被害がでる放射能からはできるだけ遠くに逃げるべきであり、福島の生産者はその地にとどまるべきではない、ということです。
橋本さんは国際提携ネットワークであるウージャンシ理事でもあり、その団体から日本へはどのような協力をしたらいいのか言ってほしいといわれていること、金銭的援助も受けられることから関西では福島の生産者受け入れのための準備をすすめていくことが必要だと述べられました。また福島の生産者が全国に広がることは今回の原発事故によって引き起こされた出来事を日本国中に広めることになり、今後の循環可能なエネルギーを生みだす社会構築につながっていくことになるという広い視野をもった考えも述べられました。
橋本さんの報告に続いて急きょではありましたが、そのウージャンシ本部のフランスにいらっしゃって、福島の地と往復しながら、福島の生産者の移住を応援する活動をはじめているアンベール・雨宮裕子さんからも報告していただきました。
